ゆうちょ銀行は政府系ファンドとしての役割を期待できるのか
天下りなどの既得権益の温存やゆうちょ・簡保の限度額引き上げによる民業圧迫などと 何かと評判の悪い郵政民営化凍結問題ですが、
マネーの動きで見抜く国際情勢 (PHPビジネス新書)の中で著者の岩本沙弓氏は、
世界中の国々が自国の国益を最大限にしようとせめぎ合いをしているのであるから、その中で無防備でいれば、他国の思いのままにされてしまうというのが現実。
であるからこそ、政府系ファンドとしてのゆうちょ・簡保は戦略的国家を目指すための、非常に大切な日本国民の資産である。
という考えの下、郵政民営化凍結による本当の目的は以下のようなことだったのではないかと述べています。
期待できる政府系ファンドとしての役割
郵政が民営化されるか否かということには、ゆうちょの所轄がどこになるか、という問題にもおおいにかかわってくる。
民営化となれば、金融庁の監督下。民営化凍結となれば総務省になると思われる。
民営化法案凍結の最大の目的は、ゆうちょ銀行を金融庁の直轄対象から外すことだったのではないかと考える。
ゆうちょ銀行を金融庁の監督外にすれば、世界最大の政府系ファンドであるゆうちょと簡保の足枷を外すことができる。
ゆうちょ銀行が民営化の下で金融庁の管轄下であればBIS規制を受けざるをえない。
ゆうちょ銀行が民営化凍結により、金融庁の監督下から離れれば、BIS規制の制約も外れ、それゆえ、ゆうちょ・簡保は政府系ファンドとして、自由な裁量で国際市場を動きまわることもでき、今後の日本の国益のために機能してくれるものと期待できる。
国としての外貨準備についても、民営化が凍結されたゆうちょ銀行であれば臨機応変に、しかも外圧に屈することなく動くことが可能になろう。
ゆうちょが政府系ファンドとして金準備を増やすという戦略を考えた場合、SPDRゴールドシェアなどの金ETFを購入することが考えられるが、政府系ファンドが金ETFを購入した場合、SECへの報告義務が生じる。
金の地金を買った場合は、SECの監視する有価証券の範疇ではなくなり、政府系ファンドにはSECへの報告義務はなくなる。
一方、政府が外貨準備としての金の地金を購入すると、IMFへの報告義務が生じるので、日本政府として外貨比率を変えようと金を購入すれば、財務省の数字として情報が公開された瞬間に、各方面からプレッシャーがかかる恐れがある。
ところが、民営化凍結されたゆうちょであれば、金を地金で購入する限り、SECにもIMFにも報告義務は発生しなということになる。
つまり、妙な圧力を受けずに、日本人の財産としてひそかに金の購入をすすめることができる。
著者の岩本沙弓氏は、国内外の金融機関でトレーディング業務に従事し、現在は金融コンサルタント・経済評論家のようです。
外国為替などを扱っていた人ですから、現場の事情に精通しているようです。
著者のスタンスは国益重視・国民生活第一というスタンスのようです。
批判の多い郵政民営化凍結問題ですが、久しぶりに論理的な肯定意見で新鮮でした。
スポンサードリンクマネーの動きで見抜く国際情勢 (PHPビジネス新書)の中で著者の岩本沙弓氏は、
世界中の国々が自国の国益を最大限にしようとせめぎ合いをしているのであるから、その中で無防備でいれば、他国の思いのままにされてしまうというのが現実。
であるからこそ、政府系ファンドとしてのゆうちょ・簡保は戦略的国家を目指すための、非常に大切な日本国民の資産である。
という考えの下、郵政民営化凍結による本当の目的は以下のようなことだったのではないかと述べています。
期待できる政府系ファンドとしての役割
郵政が民営化されるか否かということには、ゆうちょの所轄がどこになるか、という問題にもおおいにかかわってくる。
民営化となれば、金融庁の監督下。民営化凍結となれば総務省になると思われる。
民営化法案凍結の最大の目的は、ゆうちょ銀行を金融庁の直轄対象から外すことだったのではないかと考える。
ゆうちょ銀行を金融庁の監督外にすれば、世界最大の政府系ファンドであるゆうちょと簡保の足枷を外すことができる。
ゆうちょ銀行が民営化の下で金融庁の管轄下であればBIS規制を受けざるをえない。
ゆうちょ銀行が民営化凍結により、金融庁の監督下から離れれば、BIS規制の制約も外れ、それゆえ、ゆうちょ・簡保は政府系ファンドとして、自由な裁量で国際市場を動きまわることもでき、今後の日本の国益のために機能してくれるものと期待できる。
国としての外貨準備についても、民営化が凍結されたゆうちょ銀行であれば臨機応変に、しかも外圧に屈することなく動くことが可能になろう。
ゆうちょが政府系ファンドとして金準備を増やすという戦略を考えた場合、SPDRゴールドシェアなどの金ETFを購入することが考えられるが、政府系ファンドが金ETFを購入した場合、SECへの報告義務が生じる。
金の地金を買った場合は、SECの監視する有価証券の範疇ではなくなり、政府系ファンドにはSECへの報告義務はなくなる。
一方、政府が外貨準備としての金の地金を購入すると、IMFへの報告義務が生じるので、日本政府として外貨比率を変えようと金を購入すれば、財務省の数字として情報が公開された瞬間に、各方面からプレッシャーがかかる恐れがある。
ところが、民営化凍結されたゆうちょであれば、金を地金で購入する限り、SECにもIMFにも報告義務は発生しなということになる。
つまり、妙な圧力を受けずに、日本人の財産としてひそかに金の購入をすすめることができる。
著者の岩本沙弓氏は、国内外の金融機関でトレーディング業務に従事し、現在は金融コンサルタント・経済評論家のようです。
外国為替などを扱っていた人ですから、現場の事情に精通しているようです。
著者のスタンスは国益重視・国民生活第一というスタンスのようです。
批判の多い郵政民営化凍結問題ですが、久しぶりに論理的な肯定意見で新鮮でした。
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